いきなりですが、今日は番外編をお送りします。
語学好きには海外旅行好きが多いとの勝手な自分の推測から、通訳という仕事をやってみたいと思う人も多いのでは?と思ったのでこの記事を書きます。
- 語学修行としてクルーズ船でのボランティア通訳をお勧めする理由
- ピスボートのボランティアって一体何なの?
- クルーズ船の通訳になるための語学力の目安
- ボランティア通訳になるまでの審査過程
- CCとして採用されてから船に乗るまで
- おわりに
語学修行としてクルーズ船でのボランティア通訳をお勧めする理由
語学学習に目的意識が生まれる
コロナ禍のこの2年半、私のように海外にも行かず、ただひたすら語学修行を続けた人は少なくないのではないでしょうか?
自分が学んだ言語を使いたくても、外国人は日本に来ないし、自分も外に出れないしで、途中でいったい自分は何で言語を勉強しているんだ!
意味あるのか?
という気持ちになった方もいるかもしれません。
語学において身近な目標を持つって大事ですよね。
その一つの目標のオプションとして、ピースボートのボランティア通訳という選択肢があります。
ボランティアなので基本無報酬ですが、ご褒美がもらえることも。
特に地中海周辺の寄港地は日本語が話せるツアーガイドが多いためか、通訳のアテンドが不要なところが多く、CCでも自由に過ごせる場所もあります。
担当言語にもよりますが、私はペルー、キューバ、スペイン、フランス、イタリア、トルコ、エジプトが非番で、このうちエジプトはご褒美ツアーに無料で連れて行ってもらいました。また、それ以外のフリーの場所は自腹で自由行動を楽しみましたので、このシリーズの後半で書いていきたいと思います。
タダで世界一周旅行ができる
通訳は無報酬ですが、乗船料も食事代も一切かかりません(飲酒は別)。
余談になりますが、ディナーに関しては、違う別々のレストランで2回食らうことも可能なので、大食いの方は心行くまで楽しめます。
ちなみに朝ごはんとランチはバイキングで、これまたたらふく食べられます。
水筒を持っていけば飲み水も無料でもらえますし、各寄港地のツアーも自分が仕事としてアテンドするものはもちろんタダです。
3カ月半もの間タダで世界をさまよえるなんて、お得すぎませんか?
よく、タダより怖いものはないなどといいますが、このCCのタダは存分楽しめるタダですので、ご心配なく。一応通訳という労働を提供していますから、その見返りととることもできます。
国際色豊かな仲間ができる
通訳(CCと呼ばれる)はだいたい15名ほどのチームですが、メンバーの国籍や居住国は様々です。
また、CCとGETティーチャー(通称ゲッティー)と呼ばれる英語とスペイン語のネイティブの先生十数名は同じ国際部としてこの3カ月半の間、運命共同体となりますので、イベントや何か事あるごとに常に一緒に行動します。
当然船での部屋割りもこの国際部の中でCCとゲッティーとのミックスで行われるので、ゲッティーとは寝るときもほぼ一緒になり、Roomieとして絆が深まっていくことは間違いありません。
ピスボートのボランティアって一体何なの?
ピースボートの地球一周クルーズはNGOであるピースボートと旅行会社のジャパングレイスの2つの組織で運営されています。
このうち、NGO組織の方の乗船スタッフはボランティアが大半を占めます。
ボランティアスタッフにはいろいろあり、私のようにCC(通訳)で参加する人もいれば、洋上カルチャースクールの講師やその他運営メンバーのような立場で参加する人もいます。
ちなみにこうした講師の人たちやスタッフも乗船料は無料です。
また、乗客の中にもボランティアスタッフがいて、特に若い人は地球一周の旅のポスターを貼るというボランティア作業をすることでポイントを稼いで、船の乗船料金を割引して乗るパターンが多いようです。
こうしたNGOのボランティアは国内のポスター貼りは別として、他の仕事はどれも英語やスペイン語などの外国語力が必要です。
その最たるポジションがCC(コミュニケーション・コーディネーター)と呼ばれる通訳の仕事です。
CCになるにはそれなりに高い語学力が必要です。
ですが、CCとして乗船すれば、世界一周旅行が無料でできるだけでなく、通訳として著名人と直接話したり、海外の多くの人々と交流する機会に恵まれます。
また、同じバイリンガル、トリリンガルの仲間と共に100日間以上の苦楽を乗り越えながら楽しい思い出も作ることができます。
旅行好きならこんな美味しい話はありません。
いや、旅行では絶対に味わえないような貴重な体験ができるのです。
もし今、自分はまだちょっと力不足だけど将来やってみたいな〜と少しでも思ったら、普通に旅行のパンフレットを取り寄せてみるだけでも、モチベーションアップにつながるかもしれません。
実際私もクルーズに乗船する前はパンフレットを度々見て、ニヤニヤしたものです。
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クルーズ船の通訳になるための語学力の目安
ピースボートのボランティア通訳になるには
日本語に加えて、もう一つぺらぺらの言語が必要になります。
私は英語で参加しましたが、スペイン語や中国語、韓国語の募集もあります。
クルーズによって募集言語は変わってくるようですが、一つの例として来年の中国語の通訳の募集要項のリンクをこちらに貼っておきます。
https://peaceboat.org/wordpress/wp-content/uploads/2022/03/getinvolved_cruisestaff_la2023.pdf
例えば、上記募集要項を見ると、中国語の場合の参考レベルはHSK6級とあります。
でも、私の場合は、HSK6級を持ってるので、「やったー、すぐ参加しまーす!」
という気にはなりません。
ここに記載されているHSK6級というのは確かに今ある中国語のHSKのレベルでは一番上の級ですが、自分はまだまだ実力が足りていないと感じます。
すでにCCをやったことがあるのでわかるのですが、もし今の自分の中国語のレベルで間違って乗船メンバーに採用されてしまったら、地獄を見ること請け合いです。
なぜなら、クルーズ船の通訳は同時通訳もあるからです。
中国語のリスニングがちょっとでも怪しかったら、または、中国語で単語がすらっと出てこなかったら、その時点で置いていかれる可能性は十分あります。
とはいえ、本番は仲間がフォローしてくれたりするので、実際に大事に至った経験はなかったですが、それでも自分が「よっしゃ大丈夫!」という自信を持ってからでないと、通訳はなかなかしんどそうです。
なので、今の自分だと中国語CCはやはり無理なのですが、でも、この基準に届いていないからこそ、届くように頑張ろう!!とモチベーションが上がっているのです。
HSK6級って・・・実は大したことないんです!笑
ボランティア通訳になるまでの審査過程
CC(ボランティア通訳)として乗船するにはまず書類審査に合格する必要があります。
その中には乗船したい動機を英語で書いてエッセイとして書いて提出する書類審査もありました。
それに合格すると今度は英語の面接と通訳試験です。
募集要項に「通訳経験必要なし」と書かれていますが、簡単な通訳試験は課されます。
私は応募の時点で既に何年か通訳の仕事を経験していたので、通訳試験は各エージェントで何度かやらされて*1慣れていましたが、全く未経験の場合はどんなにぺらぺらでも緊張するかもしれませんので、心の準備だけはして臨みましょう。
通訳学校などに通った経験があるといいと思います(むしろ学校の試験の方が何十倍もキツイので)。
この簡単な通訳試験に合格すれば晴れてCCとして採用されます。
ただ、このように書いたあとでなんですが、この試験はあくまでも通訳のスキルというよりかは英語と日本語の能力を測るほうに比重が置かれた試験のような印象を私は受けました。
実際にCCに選ばれたメンバーは通訳経験のない数名を除いてほぼ通訳経験がない人だったので、高い英語力と日本語力(特に聞く話す)さえあれば大丈夫だと思います!
CCとして採用されてから船に乗るまで
CCとして採用されるとすぐにメンバーの顔合わせがあり、その後は乗船までの数ヶ月間、週1の頻度で夜にみんなで勉強会を行いました。
勉強会で学ぶことは主に:
- 通訳スキル
- 世界情勢や歴史について
- アテンドするツアーの練習
です。
海外在住や地方在住のCCはオンラインで参加して、乗船直前にやっと顔合わせできた人も何人かいました。
私は東京在住なので高田馬場まで普通に通えたのでラッキーでした。
次に勉強会の詳しい内容ですが、
1番は通訳経験のない人向けに、ノートテイキングや同時通訳の仕方などを伝授。
2番は特に内容が豊富で、環境問題や地雷の問題、貧困問題(例えばグラミン銀行についてなど)を調べたり、旧ユーゴスラビアの戦争の話や、アフリカの問題、災害救助や台湾の歴史、核問題や原住民の話など、世界にありとあらゆることについて見識を深めました。
3番は寄港地でツアーにアテンドしなければならないので、そのシミュレーションをやったりしました。CCという仕事は、通訳なのでただ訳してればいいというのではありません。コミュニケーション全般を円滑に進めるための役割なので、通訳以外のいろいろなフォローも行います。サービス業的な側面もありますので、お客さんのクレーム対応なども学んでおく必要がありました。スタッフもいますが、実際に矢面に立たされるのは結局、言語の通じる通訳なので。
この毎週の勉強会を通じて、他のCCとだんだん仲良くなっていきます。
勉強会は本当に楽しく、しかもその間に今回のクルーズの詳細(どんな著名人が水先案内人として乗船するかや寄港地ツアー募集内容など)もどんどん明らかになっていくので、わくわく感も日に日に増します。
そして、船に乗る直前の数日間は合宿形式で研修をやりました。
海外&地方組はこの直前合宿でやっと合流です。
直前合宿は同じ国際部の英語とスペイン語の先生たち(GETティーチャー)と一緒に様々なワークショップをやりました。
先述しましたが、ゲッティーとCCはチームなんです。
だから、CC内だけでなく、ゲッティーとのチームビルディングも必要です。
普段は交わることのない世界各国の若者が同じチームで100日間一緒に過ごすところがこの仕事の面白いところです。
おわりに
今日はタダで世界一周旅行プラスαの経験ができるボランティア通訳について簡単に紹介しました。
語学は目標がないとなかなかモチベーションを保つのが難しいもの。
いつか世界一周旅行をしたい!
そんな旅好きな方がいたら、
いろいろな国の人と交流したい!
そんな国際交流好きの方がいたら、
将来通訳者になりたいので、ボランティアで修行したい!
そんな志の高い方がいたら、
ピースボートのボランティア通訳をやってみるのも一つの選択肢です。
私は前回は英語CCで乗船しましたが、次回はショートクルーズに中国語か韓国語のCCで乗ってみたいと考えています(あくまでもタダで乗ろうとする、笑)!!
自分と似たような野望を持っている少しでも多くの人に
この素晴らしい体験をしてもらいたいです。
パンフレットを眺めたらやる気がでるかもしれませんよ。