ここ最近の投稿で明らかですが、先日実に3年ぶりに韓国ソウルに降り立ちました。
私が韓国に来る理由はいつも一つです。
現地で生でミュージカルを見るためです。
- ホングァンホさん出演回の「デスノート」のチケットは即売
- 3回で全てのキャストを制覇
- 「デスノート」各回を観た感想
- 「デスノート」の3パターンを観た感想、比較など
- やっぱり韓国ミュージカルのレベルは高い!
- 「デスノート」って素晴らしいミュージカルですね
コロナ前までは毎年ソウルに観劇に行っていたので、コロナで行けなくなったこの3年間のフラストレーションといったらありませんでした。
今回見たのは日本でもやっている「デスノート」です。
ホングァンホさん出演回の「デスノート」のチケットは即売
主演の夜神月役がホングァンホ様ということで、チケットの入手が困難を極めました。
キム・ジュンス&ホン・グァンホ&コ・ウンソン&キム・ソンチョル「デスノート」、1次チケットがオープンと同時に完売│韓国音楽K-POP│wowKorea(ワウコリア)
上記リンクの記事にもありますが、チケットはオープンと同時に即完売。
ホングァンホさんは、日本では知らない方が多いと思いますが、韓国にとどまらず人気のミュージカル俳優さんで、英国ウエストサイドで上演された「ミスサイゴン」では、英国の「What’s On Stage Awards」と「2014 BWW UK AWARDS」で、助演男優賞を受賞した折紙付きの実力派俳優です。
アジアを拠点とするアジア人で、英国の主要なミュージカルの賞を2つも受賞とはすごいですよね。
そんな大人気のホングァンホさんが私は大好きで、彼の歌声を聴くために、いつも韓国に行っているのですが、チケットの入手が地獄のように大変なんです。
今回はコロナ後初ということもあってか、いつも以上に大激戦で、1次、2次、3次オープンと全て敗退。
とにかくキャンセル待ちを狙えと、在宅ワークの合間に何百回も正規チケット販売サイトにログインして、なんとか今回の3枚をゲットしたというわけです。
私は転売ヤーやマージン乗せて出されているネット掲示板や業者からは毎回絶対に買わないと決めている(買う人がいるから馬鹿高い値段で転売する人がいるわけなので)ので、チケットオープン後数分で売り切れてしまうホングァンホ様のチケットをキャンセル待ちだけで取ろうとするのは大きな賭けでしたが、渡韓ギリギリ1日前にホングァンホ様とジュンスさんが同時に出る3枚目の公演のチケットを正規の値段でゲット!
しかもキャンセルされたチケットは、肉眼で顔がはっきり見える良席で、まさに奇跡だったかもしれません。
とにかく、貴重なチケットだったので、両目と両耳を見開いて観劇しました。
3回で全てのキャストを制覇
今回は、2日間かけて3回連続で違うキャストの組み合わせを鑑賞しました。
1回目:夜神月=ホングァンホ、L=キムソンチョル
「デスノート」各回を観た感想
1回目:夜神月=ホングァンホ、L=キムソンチョル
初日の1本目は、夜神月役がホングァンホ様、L役がキムソンチョルさん。
3年ぶりの生グァンホということで、行きの飛行機の中からもうワクワクが止まりませんでした。
これまで様々なミュージカルを韓国で見てきましたが、「デスノート」のホングァンホさんは初めてだったので、彼がステージに登場しただけで既に感動。
しかも、「デスノート」というミュージカル自体が初めてだったので、YouTubeで聴くことができた数曲以外は、この日、一体どんな風になるのか、蓋を開けてみるまで、全く何も知らなかったのです。
そんなわけで、この作品のシグネチャーソングとも言える「ハリケーン」がかなり早い段階で歌われたときは、こんなに早くに聴けると思ってなかったので、びっくりして泣きそうになりました。
前半だとは思っていましたが、これがどこで歌われるかなどの情報は全然知らなかったのです。
しみじみ、生で聴けて良かったです。
キムソンチョルさんは初めて見たのですが、とにかく歌が上手で、お上品な感じでしたが、キムジュンスさんのような野性的な感じはあまりなかったです。
2回目;夜神月=コウンソン、L=キムジュンス
2日目の2本目は夜神月役がコウンソンさん、L役がジュンスさんでした。
ジュンスさんのLは期待通りで、本当に素晴らしかったです。
一つ一つの仕草が独特で、Lの世界観を見事に体現していました。
キムジュンスさんは運動神経抜群で、ボディーコントロールに秀でているので、細かい筋肉や首のアイソレーションを巧みに使って、体全体でLという変わった人物を表現しています。
コウンソンさんの夜神月は、歌唱力に関しては申し分ないですし、Lとの息もぴったりで、一つのミュージカルとして素晴らしかったです。
ですが、私はやっぱりホングァンホさんの夜神月のほうが好きです。
これはコウンソンさんのせいではなく、ホングァンホさんが凄すぎるせいです。
コウンソンさんが日本でプリンシパルをやったら、絶対人気者になると思います。
3回目:夜神月=ホングァンホ、L=キムジュンス←カリスマ回
そして最後3本目。
もう最強のタッグで、目と耳が休む暇がない。
「ゴールデンチケットアワーズ」で人気賞を受賞したことのある、チケットパワー最高のジュンスさんと、毎回1人で何十回と公演を観に行くコアなファンをもつホングァンホ様の回なので、このチケットが最高に入手困難でした。
この3本目を見るまでに、ホングァンホさんとジュンスさんをそれぞれ1回ずつ既に観た後で、今回旅の最後に2人のカリスマが共演する回を見れたという、この順番がまた最高で、自分はつくづく運が良かったなあと思いました。
見たい人が2人もいるので、3本目はとにかく両目が忙しく、2人が同時に歌ってくれる時は嬉しいのですが、舞台の両端にバラけられると、どっちを見ていいか分からなくなり、右見て左見て右見て左見て・・・忙しすぎました。
いや〜〜贅沢でした!
「デスノート」の3パターンを観た感想、比較など
実は、私自身、このように同じミュージカルを3本連続で見るというのは初めてでした。
毎回ソウルに行くと、3公演くらいは見るのですが、どれか1本は別のミュージカルを挟んだりして箸休めをしていたからです。
でも、今回夜、昼、夜と連続で同じ作品を鑑賞して沢山気づきがありました。
毎回違う箇所が出てきて、本当にとても面白かったです。
以下、3公演観た感想を書きます。
ちょっとセリフを変えてくる
まず、L役のジュンスさんの公演を2つ見たのですが、1本目と2本目でセリフが違っていました。笑
The Game Beginsの歌の途中でいうセリフがお昼は「学生だ」だったのですが、夜は「高校生だ」に変わっていました。
前日の公演でキムソンチョルさんは「学生だ」と言っていたので、おそらくそっちのほうが正しいのだと思います。
ちりばめられたコミカルな演技
あと、キムソンチョルさんのLとの違いは、ジュンスさんはちょくちょくアドリブや可愛いポーズを入れてくることです。
例えば、テニスで対戦する前に、ウォーミングアップですごいバランスワークを披露してから、プリケツを観客の方に向けてくるくる回して振って観客の笑を取ったり、ミサミサに初めて会った時に、顔をじろじろ見た後、「ファンなんです」っていうところで、ミサミサの歌を歌いながらキレっキレの完璧なダンスを披露して観客を魅了したりして、見ていて飽きることがありませんでした。
こうしたダンスパフォーマンスはダンスが得意なジュンスさんにしかできない技だと思います。
また、「お前誰だ」って言われて「Lです」と言って捜査官の前に初めて姿を見せるときにちょっとぶりっこして可愛く言ったりできるのも、元(?)アイドルならではの持ち味ですよね。
テニスの前に夜神月と握手をする場面では、握手すると見せかけて、夜神月役のコウンソンさんと息ぴったりのジャンケン芸を見せていました。
普通はそこでためらいながら握手をするのですが・・・。笑
もちろんLは一癖も二癖も人物で、終始チュッパチャプスを舐め続けて首を傾けながら、夜神月を追い込んでいくシリアスな役柄でありながら、こうして笑を取る余裕と可愛らしさはさすがだなと思いました。
残酷なお笑い番長「リューク」と母のような優しくてちょっと可愛い「レム」
メインキャストのイヨンミさんのレムも私は大好きで、あの透き通った声でミサミサを包み込む感じがなんとも感動的でした。
リュークも毎回笑を取っていて、おもしろかったです。
特に、ミサミサが夜神月のデスノート触ったとき、初めてミサミサに姿を表すときのリュークのポージングは可愛かったですし、このポーズも毎回微妙に違うんですよね。
笑いとを取るという意味ではレムも負けておらず、レムがミサを最初にみて「かわいい」と言う言い方とキャラクターとのギャップでいつも観客は大受けでした。
また、ミサミサがファンに追いかけられて逃げていくシーンでは、ミサミサを追いかけて走る姿がブサカワいくて、いつも笑いを誘っていました。
テーマがダークであるぶん、こうしたクスッと笑える演出がとても生きていて、死神という恐ろしくドライなキャラでありながら、お茶目な一面を描いている部分が対比として面白く描かれています。
特にリュークは、普段は「つまらない、退屈だ〜」と夜神月の周りで面白いことだけ探している面白いおじさんように見えるのとは裏腹に、氷のように冷たい心を持った残酷な死神である点が、最後ゾクゾクさせられました。
また、ミサミサに「本当に女性かどうかは分からない」と言わしめてしまうほど、氷のようなゾッとするような出で立ちのレムは、リュークとは正反対の温かい思いを胸に秘めたキャラクターで、寒々しい観た目から発せられる深い歌声に感銘を受ける人は多いと思います。
アドリブ
ジュンスさんのLがあまりにも魅力的だったからかどうかはわかりませんでしたが、3本目の公演のとき、Lが捜査官にお菓子をあげるシーンで、いつもは手で渡すのに、捜査官の方からL役のジュンスさんの手に顔を近づけて動物のように直食いしていたのは、みなさん大受けでした。
あれも間違いなくアドリブでしょう。
このお菓子をあげる場面というと、キムソンチョルさんのLのときは、捜査官にお菓子をあげる前に自分の指を舐めていて、その手でお菓子をあげていたのを思い出しました。
役柄とはいえ、コロナ中であればそんなことは許されなかったでしょうから、随分平和になりましたね。
と、ここまでL役にばかり言及してきましたが、ホングァンホさんについてももちろん書きます。
ホングァンホ様のすごいところ
ホングァンホ様はとにかく、感情の乗せ方がハンパないんです。
歌が異常に上手いのは周知の通りですが、それ以上に演技がすごい!
夜神月は、最初純粋な理由から始めたデスノートにどんどん蝕まれていって、最後はどんどん悪い顔になっていくのですが、それが演技からも歌い方からも手に取るように分かるのです。
普通に役者として映画に出てください!ていうレベル。
また、コミカルな演技も非常に巧みです。
リュークが最初自分の部屋に急に出てきて動揺しているときに、妹も部屋に入ってきてリュークと妹の間で夜神月がおろおろしてしまったとき、妹に向かって「オ、オッパケンチャナ」という言い方が、大げさすぎず、でも面白さが滲み出ていて、本当に笑のツボを心得た人にしかできない演技だなと思いました。
観客の皆さんも毎回受けていました。
リュークが夜神月の部屋に初めて現れるシーンも個性が出ていました。
コウンソンさんの夜神月の場合は、リュークにお尻バウンス数回してド派手に転げる軽快で面白い感じだったのに対し、ホングァンホ様の場合は、リュークの膝の上に座った後、振り返ってリュークを見た後、欧米映画やトムとジェリーみたいな絶妙な間をとって、「ワーーー!」と叫ぶ、ベタな鉄板コメディの感じでした。
有名なテニスのシーン
また、ホングァンホさんとコウンソンさんの演技の違いといえば、テニスのシーンが顕著でした。
コウンソンさんはテニスのフォームがとても綺麗で(経験者だと思います)、バックハンドもサーブのトスもちゃんとテニスでした。
他方、ホングァンホさんはテニスのフォームがメチャクチャで、これはテニスか!と突っ込みたくなったのですが、コウンソンさん以外はキムソンチョルさんもLもみんなハチャメチャなテニスをしていたので、そこはミュージカル的にはどうでも良いポイントだったのかなと思います。
ホングァンホさんに関して特に印象的だったのが、妹が自分に向かって「私のヒーロー」と歌っているときに表情がめちゃくちゃ優しかったことです。
ミサミサにも父親にもほかの誰にも見せないとびっきりの優しいお兄ちゃんの表情で寄り添っていたのが印象てきでした。
ホングァンホさんは、本当に顔や瞳の演技がすごいな〜と思いました。
そこに感情ととてつもない歌唱技術が乗ってくるから、そりゃチケットも入手困難ですわ。
私はまだ日本でそこまでの人を観たことがありません。
ジュンスさんにしてもそうですが、単に歌が上手いということではないのだと思います。
ホングァンホさんとジュンスさんは、歌に感情が全て染み渡っていて、聴く側は、心地よさがずっと永遠に続く感じなんです。
この2人の歌を1度聴き始めたら、一瞬たりとも目が離せなくなってしまいます。
まさにカリスマ。
なんていうか、眼で聴く感じというか、わかりますかね、、、上手な歌を耳だけでふんふんと聞くレベルではなく、耳でその音を捉えた瞬間、絶対自分の眼で見て、今何が起こっているのかを確かめたくなる、そうゆう心揺さぶられる歌なんです。
それは他のミュージカルの演目でも変わりません。
ホングァンホさんのシラノを見たときもかなりの衝撃を受けましたし、ジュンスさんのエリザベートのトートを観たときも衝撃的でした。
この2人は本当に歌のうまさに甘んじでサラッと歌うことがなく、繊細な部分も力強い部分もすべてを体全体で表現しています。
プロジェクションマッピングが効果的な舞台装置
プロジェクションマッピングが多用された秀逸な舞台でした。
こんなに平面でありながら立体感のある舞台構成は初めてです。
大掛かりな装置は一切ないのに、時間や物理的な場所を明確に区切ってはっきりと場面が再現されていて、すごいな〜の一言です。
やっぱり韓国ミュージカルのレベルは高い!
最後ちょっと熱く語ってしまいましたが、また、絶対に韓国に観に行きたいです。
日本に来てやってくれると一番いいんだけど。
このほか、リュークとレムも毎回すごくて、このミュージカルに限らず、韓国のミュージカルはアンサンブルも含めて全員のレベルが非常に高いです。
韓国のアンサンブルは主役を張れる歌唱レベルの人たちばかり。
とても層が厚いです。
「デスノート」って素晴らしいミュージカルですね
今回観に行って、すっかりデスノートのファンになってしまいました。
このミュージカルは息をつく暇もありません。
捜査官数名が歌う場面でさえ、その歌のうまさに感動します。
内容がすごかった分、最後のカーテンコールが結構あっさり終わってしまうのが、毎回なんだか寂しかったのですが、ホングァンホさんは舞台からはける前に、毎回L役を抱っこして帰るサービスをしてくれましたし、ジュンスさんもはける前に投げキッスをして去って行きってくれました。
ジュンスさんは日本語も堪能で、昨年のFNS歌謡祭では井上芳雄さんとデュエットしてエリザベートを2曲歌ったことでも話題になりました。
近い将来、日本でもミュージカルに出てくれたらと願うばかりです。
夜遅く、雨の中ひとりホテルに帰る途中、バス停にデスノートの広告があるのを見つけました。
余韻覚めやらぬ中、思わず撮ってしまった1枚です。